メラトニンが日本で発売されない理由とは?

こんにちは!鹿児島の不眠専門 ZEN鍼灸接骨院の栫漸(かこいぜん)です。「メラトニンは睡眠に良いと聞くけれど、なぜ日本では売っていないの?」と感じたことはありませんか。海外のドラッグストアでは手軽に購入できるメラトニンサプリですが、日本国内での販売は禁止されています。この記事では、メラトニンが日本で発売されない理由について、法律の観点から分かりやすく解説します。

また、副作用や、うつ症状への影響、太るといった噂、そして老化との関係についても掘り下げていきます。海外で人気のグミタイプの情報や、安全な使用法にも触れながら、あなたの疑問に総合的にお答えします。

この記事を読むことで、以下の点について深く理解できます。

  • メラトニンが日本で「医薬品」として厳しく管理されている背景
  • 海外製メラトニンサプリやグミに伴う副作用と個人輸入のリスク
  • メラトニンと睡眠、老化、うつ症状との科学的な関連性
  • サプリに頼らず、安全にメラトニンの分泌を促すための生活習慣

メラトニンが日本で発売されない理由と医薬品の扱い

メラトニンが日本で発売されない理由と医薬品の扱い

この章では、メラトニンが日本でどのように位置づけられているのか、そして医療現場でどのように使用されているのかを解説します。

  • 日本で販売が禁止されている背景
  • 医薬品「メラトベル」とは
  • 睡眠と老化に関わるメラトニンの働き
  • うつ症状への影響と注意点

日本で販売が禁止されている背景

日本でメラトニンを含むサプリメントが販売されない最も大きな理由は、メラトニンが日本の法律(薬機法)において「医薬品成分」に分類されているためです。

医薬品成分とは、人の体の構造や機能に影響を及ぼすことを目的とした物質を指します。メラトニンは、脳から分泌されるホルモンの一種であり、睡眠や体内時計の調整という明確な生理作用を持っています。このように、身体機能へ直接的に働きかける成分は、その有効性や安全性を国が厳格に審査し、承認を得なければ製造・販売することができません。

一方、アメリカなど一部の国では、メラトニンは「栄養補助食品(サプリメント)」として扱われており、比較的自由に販売されています。これは、国による法的な定義や規制が異なるためであり、どちらが良いというよりも、国民の健康を守るための考え方の違いと言えます。

日本では、安全性を最優先する観点から、ホルモンのように体に与える影響が大きい成分は、医師の管理下で使用されるべき医薬品として扱われるのです。

項目メラトニン(日本の処方薬)一般的な睡眠薬(ベンゾジアゼピン系など)
主な作用体内時計のリズムを調整し、生理的な眠りをサポートする脳の神経活動を抑制し、鎮静作用により強制的に眠気を誘う
効果の現れ方比較的穏やかで、自然な眠りに近い速効性があり、強い眠気を引き起こす傾向がある
依存性・耐性精神的・身体的な依存性は低いとされる長期使用により依存や耐性が生じるリスクがある
主な副作用日中の眠気、頭痛、めまいなど(比較的軽度)ふらつき、健忘、筋弛緩、離脱症状など
日本での位置づけ概日リズム睡眠障害治療薬睡眠導入剤

医薬品「メラトベル」とは

医薬品「メラトベル」とは

前述の通り、メラトニンは日本では医薬品として扱われていますが、実際に処方薬として承認されている製剤が存在します。それが「メラトベル」です。

ただし、このメラトベルは、誰でも処方してもらえるわけではありません。その適応は「小児期の神経発達症(自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症など)に伴う入眠困難の改善」に限定されています。

神経発達症を持つ子供たちの中には、体内時計のリズムが乱れやすく、メラトニンの分泌パターンが通常と異なることで、寝つきに深刻な困難を抱えるケースが多く報告されています。メラトベルは、そのような子供たちの体内時計を正常なリズムに整え、スムーズな入眠をサポートする目的で使用される医療用医薬品です。

したがって、大人の一般的な不眠症や、特定の疾患が関連しない子供の寝つきの悪さに対して、メラトベルが処方されることはありません。日本でメラトニンを医薬品として利用できるのは、非常に限定的なケースに限られているのが現状です。

睡眠と老化に関わるメラトニンの働き

睡眠と老化に関わるメラトニンの働き

メラトニンは、単に眠りを誘うだけでなく、私たちの健康維持に多角的な役割を果たしています。「睡眠ホルモン」と呼ばれる所以は、夜間に脳の松果体から分泌され、深部体温をわずかに下げることで、体を休息モードへと導き、自然な眠気を促す働きにあります。

この分泌は光によって巧みにコントロールされており、朝に太陽の光を浴びると分泌が止まり、夜に暗くなると分泌が始まるというリズムを持っています。このリズムが、私たちの約24時間周期の体内時計を正確に保つ鍵となっているのです。

さらに、メラトニンには強力な抗酸化作用があることも近年の研究で注目されています。私たちの体は、呼吸するだけでも細胞を傷つけ老化の原因となる「活性酸素」を生み出します。メラトニンは、この有害な活性酸素を無毒化する能力を持ち、細胞を酸化ストレスから守る働きがあると考えられています。

残念ながら、体内で作られるメラトニンの量は思春期にピークを迎え、年齢とともに減少していくことが知られています。この加齢によるメラトニンの減少が、高齢者によく見られる睡眠の質の低下(中途覚醒や早朝覚醒)や、加齢に伴う様々な体調変化の一因ではないか、という仮説も立てられています。

うつ症状への影響と注意点

うつ症状への影響と注意点

睡眠障害とうつ症状には密接な関係があることが知られており、メラトニンの役割も無視できません。うつ病の患者さんでは、心の安定に関わる神経伝達物質「セロトニン」の機能が低下していることが多いのですが、実はこのセロトニンは、夜になるとメラトニンの原料となります。

つまり、日中のセロトニン分泌が少ないと、夜間に作られるメラトニンの量も減少し、結果として「寝つきが悪い」「眠りが浅い」といった不眠症状につながりやすくなるのです。この悪循環が、うつ症状をさらに悪化させる一因となる可能性があります。

このような理由から、メラトニンを補充して睡眠リズムを整えることが、うつ症状の改善に繋がるのではないかという研究も行われています。

ただし、自己判断での使用は非常に危険です。メラトニンの副作用として、まれに既存の抑うつ状態を悪化させることが報告されています。また、服用している他の薬との相互作用も考慮しなくてはなりません。睡眠に関する悩み、特にうつ症状を伴う場合は、必ず専門の医療機関に相談し、医師の診断と指導のもとで適切な治療を受けることが大切です。

メラトニンが日本で発売されない理由とサプリのリスク

海外では手軽に入手できるメラトニンサプリですが、その手軽さの裏には様々なリスクが潜んでいます。この章では、サプリメントの実態とそれに伴う危険性について詳しく解説します。

  • 海外で人気のメラトニンサプリとは
  • 手軽なグミタイプが注目される理由
  • 知っておくべき副作用のリスク
  • メラトニンで太るという噂は本当?
  • 個人輸入に潜む危険性とは
  • メラトニン分泌を自然に増やす方法
  • 総括:メラトニンが日本で発売されない理由

海外で人気のメラトニンサプリとは

海外で人気のメラトニンサプリとは

アメリカをはじめとする多くの国では、メラトニンは医薬品ではなくサプリメントとして広く流通しており、ドラッグストアやスーパーマーケットで誰でも手軽に購入できます。

海外では、主に時差ぼけの緩和や、不規則な生活による一時的な睡眠リズムの乱れを整える目的で利用されることが一般的です。飛行機での長距離移動の際に、到着地の時間に合わせて服用することで、体内時計を現地の時間に同調させやすくする助けとして活用されています。

また、夜勤などシフトワークで働く人々が、日中に質の良い睡眠をとるための補助として利用するケースもあります。錠剤やカプセルが主流ですが、液体タイプや、後述するグミタイプなど、様々な形状の製品が販売されており、ライフスタイルに合わせて選べる手軽さが人気の理由の一つとなっています。

しかし、これらの製品は日本の医薬品のような厳格な品質管理基準のもとで製造されているとは限りません。手軽に購入できるからといって、安全性が保証されているわけではないことを理解しておく必要があります。

手軽なグミタイプが注目される理由

手軽なグミタイプが注目される理由

海外で販売されているメラトニンサプリの中でも、特に人気を集めているのがグミタイプの製品です。その最大の理由は、薬を飲むという感覚ではなく、おやつを食べるような感覚で気軽に摂取できる点にあります。

錠剤やカプセルを飲み込むのが苦手な人や、子供(海外での使用例)にとっても、フルーティーな味が付いたグミは非常に受け入れやすい形状です。見た目もカラフルで可愛らしいものが多く、サプリメントに対する心理的な抵抗感を和らげる効果もあるでしょう。

また、一部のレビューでは、グミは口の中で溶かしながら摂取するため、消化吸収が速く、錠剤タイプよりも早く効果を感じやすいという意見も見られます。

言ってしまえば、この手軽さと美味しさが、グミタイプの最大の魅力です。しかし、その反面、美味しいからといって推奨量以上を食べてしまう「過剰摂取」のリスクも高まります。あくまで体内で作用する成分を含んだ製品であり、お菓子と同じ感覚で扱うべきではないという認識が不可欠です。

知っておくべき副作用のリスク

メラトニンは体内で自然に作られるホルモンであるため安全なイメージがありますが、サプリメントとして外部から摂取する場合には、副作用の可能性を理解しておくことが不可欠です。

比較的よく報告される副作用としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 翌朝への眠気の持ち越し
  • 頭痛
  • めまい
  • 吐き気などの胃腸症状

これらの症状は通常、軽度で一時的なものがほとんどです。しかし、推奨量を超えて摂取した場合や、体質によっては症状が強く出ることがあります。

さらに注意が必要なのは、まれに報告される精神面への影響です。前述の通り、既存のうつ症状を悪化させたり、不安感を増大させたりする可能性が指摘されています。また、てんかんの持病がある人が摂取すると、発作の頻度が増える可能性も報告されているため、該当する方は特に注意が必要です。

加えて、メラトニンの長期的な使用に関する安全性は、まだ十分に確立されていません。長期間にわたって外部から補充し続けることが、体内で自然にメラトニンを生成する能力にどのような影響を与えるかなど、未解明な点も多いのが実情です。

メラトニンで太るという噂は本当?

メラトニンで太るという噂は本当?

一部のインフルエンサーの情報などをきっかけに、「メラトニンを飲むと太る」という噂が広まることがありましたが、現時点でメラトニンの摂取が直接的に体重増加を引き起こすという科学的根拠は確立されていません。

むしろ、話は逆である可能性が高いです。多くの研究で、慢性的な睡眠不足が肥満のリスクを高めることが示されています。睡眠が不足すると、食欲を増進させるホルモン「グレリン」の分泌が増え、食欲を抑制するホルモン「レプチン」の分泌が減ることが分かっています。このホルモンバランスの乱れが、過食や体重増加につながるのです。

メラトニンは、睡眠の質を改善し、体内時計を整える働きをサポートします。したがって、適切な睡眠がとれるようになれば、ホルモンバランスも整い、むしろ健康的な体重維持に貢献する可能性が考えられます。

もちろん、メラトニンがダイエット薬というわけでは決してありません。「太る」という噂は、科学的根拠の乏しい情報である可能性が高く、そのような情報に惑わされず、正確な知識を持つことが大切です。

個人輸入に潜む危険性とは

個人輸入に潜む危険性とは

日本ではメラトニンサプリが販売されていないため、インターネットを通じて海外から個人輸入しようと考える人が少なくありません。個人が自己使用の目的で一定量を輸入すること自体は法律で認められていますが、この行為には極めて大きな健康上のリスクが伴います。

品質が保証されていない

海外のサプリメントは、日本の医薬品ほど厳格な品質管理基準で製造されていない場合があります。最大の問題は、製品の成分含有量が不正確である可能性です。ある研究では、市販のメラトニンサプリを分析したところ、7割以上の製品で表示量との誤差が10%以上あり、中には表示量の5倍近いメラトニンが含まれていた製品や、逆に8割以上も少ない製品があったと報告されています。

有害物質の混入リスク

さらに深刻なのは、予期せぬ有害物質が混入しているリスクです。前述の研究では、調査した製品の4分の1以上に、医薬品成分である「セロトニン」が混入していました。セロトニンを過剰に摂取すると、深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。このような汚染は、製造過程での管理がずさんであることの証左です。

健康被害が起きても自己責任

日本で正規に承認された医薬品を使用して副作用が生じた場合、「医薬品副作用被害救済制度」によって医療費などが給付されます。しかし、個人輸入したサプリメントで健康被害が起きても、この制度は適用されません。つまり、治療費もその後の生活も、全て自己責任で対応するしかないのです。

これらの理由から、安易な個人輸入は絶対に避けるべきです。

メラトニン分泌を自然に増やす方法

メラトニン分泌を自然に増やす方法

サプリメントや医薬品に頼る前に、まずは生活習慣を見直して、体内で自然にメラトニンが分泌される環境を整えることが最も安全で効果的なアプローチです。

適切な光環境を作る

メラトニンの分泌は光によって強力にコントロールされています。この仕組みを利用することが鍵となります。 まず、朝起きたらすぐに太陽の光を浴びましょう。これが体内時計をリセットする最も強力なスイッチとなり、そこから約14〜16時間後にメラトニンが分泌される準備が始まります。 逆に、夜は強い光を避けることが大切です。特に、スマートフォンやパソコンから発せられるブルーライトは、メラトニンの分泌を強力に抑制してしまいます。就寝1〜2時間前からは、部屋の照明を暖色系の暗めのものに切り替え、デジタルデバイスの使用を控えるように心がけましょう。

規則正しい生活リズムを保つ

体内時計は、毎日同じリズムで生活することで安定します。休日も平日と同じ時間に起きるのが理想です。起床時間を一定に保つことで、体内時計がずれにくくなり、夜に自然と眠くなるリズムが整います。また、食事の時間、特に朝食を毎日同じ時間に摂ることも、体内時計を整える助けになります。

メラトニンの材料となる栄養素を摂る

メラトニンの原料となるのは、必須アミノ酸の一種である「トリプトファン」です。トリプトファンは、乳製品(牛乳、チーズ)、大豆製品(豆腐、納豆)、バナナ、ナッツ類などに多く含まれています。これらの食品をバランス良く食事に取り入れることで、メラトニン生成のための材料を体内に供給することができます。ただし、食品だけで睡眠が劇的に改善するわけではなく、あくまで生活習慣全体で整えていく意識が大切です。

総括:メラトニンが日本で発売されない理由

この記事で解説した「メラトニンが日本で発売されない理由」に関する要点を以下にまとめます。

  • 日本ではメラトニンが医薬品成分として扱われている
  • 身体機能に直接影響を及ぼすため国の厳格な審査が必要
  • アメリカなどではサプリメントとして規制が緩く自由に販売
  • 日本の法律(薬機法)ではサプリとしての国内製造や販売は禁止
  • 日本で唯一承認されているのは小児用の処方薬「メラトベル」
  • 成人の一般的な不眠症にはメラトベルは処方されない
  • 海外製サプリは時差ぼけ緩和や睡眠補助として人気
  • グミタイプは手軽さから人気だが過剰摂取のリスクも
  • 副作用として翌日の眠気や頭痛、めまいなどが報告されている
  • まれにうつ症状の悪化やてんかん発作への影響も指摘される
  • メラトニン摂取が直接太るという科学的根拠は乏しい
  • 個人輸入は偽造品や成分量不正確、不純物混入のリスクが高い
  • 個人輸入による健康被害は公的な救済制度の対象外ですべて自己責任
  • 安全な対策は生活習慣を見直し自然なメラトニン分泌を促すこと
  • 朝の光を浴び夜のブルーライトを避ける光の管理が最も重要

執筆・監修

栫 漸(かこい ぜん)

栫 漸(かこい ぜん)

「眠れない夜を、もう終わりにしませんか。」

かつて私自身、過労とストレスで眠れない日々を過ごしました。
疲れているのに眠れない、朝はだるく気力も出ない…。そのつらさを経験したからこそ、同じように不眠症でお悩みの方の改善をお手伝いしたいと思い、この道を志しました。

鹿児島にある当院では、自律神経の調整×WHO(世界保健機関)でも認められている不眠のツボ×睡眠習慣の指導による不眠症根本改善を目的とした鍼灸施術を提供しています。

不眠症の背景にある自律神経の乱れやホルモンバランス、日常のストレスを丁寧に整え、自然に眠れる力を呼び起こし心と体を本来のリズムへ導きます。

■資格・実績
・国家資格4種(鍼師・灸師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師)
・睡眠の専門資格(日本睡眠機構 睡眠検定1級・スリーププランナー)
・10年以上の臨床実績/Googleクチコミ評価5.0(満点)


眠れない夜を重ねている方へ。
鹿児島で不眠症改善をめざす鍼灸院として、安心してお任せいただける環境をご用意しています。
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