腰部脊柱管狭窄症で仕事ができない時の対処法

こんにちは!鹿児島の自律神経専門 ZEN鍼灸接骨院の栫漸(かこいぜん)です。

「腰部脊柱管狭窄症」と診断され、腰やお尻、足にかけての痛みやしびれで、「このまま仕事を続けられるだろうか」「仕事ができない状態になったらどうしよう」と不安に感じている方もいらっしゃるかもしれません。

当院に来られる患者さんからも、特有の症状である間欠性跛行(少し歩くと足が痛くなり、休むとまた歩ける)のせいで通勤や外回りが辛い、というお悩みをよく伺います。

立ち仕事や重量物を扱う仕事はもちろん、実はデスクワークでの同じ姿勢も症状を悪化させることがあり、皆さん本当に悩んでいらっしゃいます。仕事を辞める、あるいは休職すべきか、手術後の復帰はいつからか、経済的な不安から傷病手当金や障害年金について調べる方も多いですね。

この記事では、腰部脊柱管狭窄症と診断された時に、仕事とどう向き合っていくか、どんな対策や制度があるのかについて、私なりの視点でお話ししていこうと思います。

  • 腰部脊柱管狭窄症で仕事が困難になる理由
  • 「デスクワーク」と「立ち仕事」それぞれの対策
  • 仕事を辞める前に知っておきたい公的制度
  • 手術後の仕事復帰に関する目安

腰部脊柱管狭窄症で「仕事ができない」と感じる理由

腰部脊柱管狭窄症で「仕事ができない」と感じる理由

まず、なぜ腰部脊柱管狭窄症になると「仕事ができない」と感じるほど辛くなってしまうのか。それは、この症状特有の「神経の圧迫」が原因ですね。

年齢とともに背骨(腰椎)が変形したり、靭帯が分厚くなったりして、背骨の中にある神経の通り道(脊柱管)が狭くなってしまいます。その結果、中を通っている神経(馬尾や神経根)が圧迫されて、腰や足に様々な症状を引き起こすわけです。

特に仕事に影響するのが、以下の二つの症状かなと思います。

間欠性跛行(かんけつせいはこう)が仕事に与える影響

この症状を代表するのが「間欠性跛行」です。私も、患者さんからこの辛さを一番よく伺います。

これは、「少し歩くと足が痛くなったり、しびれたり、重だるくなって歩けなくなる。でも、少し前かがみになって休むと(例えばしゃがみ込む、ベンチに座る)、症状が和らいで、また歩けるようになる」という特徴的な症状ですね。

歩行によって神経への血流が一時的に不足したり、圧迫が強まったりして起こると考えられています。

間欠性跛行による仕事への影響(例)

  • 通勤: 最寄りの駅まで歩くだけで何度も休憩が必要。駅のホームや階段で立ち往生してしまう。
  • 外回り・営業: 顧客先への移動が困難で、アポイントに間に合わない。
  • 現場作業: 広い工場や倉庫、店舗(例:スーパーの品出しなど)での移動が苦痛になる。
  • 日常生活: スーパーでの買い物も、カートを押している(=前傾姿勢)間は楽だけど、カートなしでは歩けない、といった状況もよく聞きますね。

このように、日常の「歩く」「立つ」という基本動作が制限されるため、仕事の効率が著しく落ちてしまうんです。「周りに迷惑をかけてしまう」と精神的に追い詰められる方も少なくありません。

持続的な痛みやしびれ

また、間欠性跛行だけでなく、安静にしていても続く痛みやしびれも問題です。

特に、腰を反らす姿勢(伸展姿勢)で症状が悪化しやすい傾向があります。脊柱管は腰を反らすと狭くなり、逆に丸めると広がる構造になっているからです。

そのため、立っているだけでも(無意識に腰が反り気味になるため)、じわじわと痛みやしびれが強まってくることが多いですね。

こうなると、仕事への集中力も維持しにくくなります。

  • PC作業中に足のしびれが気になって、作業に集中できない。
  • 大事な会議中も、痛みで内容が頭に入ってこない。
  • 痛みによるイライラや睡眠不足で、日中のパフォーマンスが落ちる。

だから、「もう仕事にならない」と感じてしまう方が多いのも、無理はないかなと思います。

ですが、診断されたからといって、必ずしも「仕事=できない」と決まるわけではありません。大切なのは、ご自身の症状と仕事内容を照らし合わせて、適切な対策を講じることです。

【仕事内容別】腰部脊柱管狭窄症との付き合い方

【仕事内容別】腰部脊柱管狭窄症との付き合い方

では、具体的にどんな仕事で注意が必要で、どう対策すれば良いのか。ここでは特に相談の多い「デスクワーク」と「立ち仕事」に分けて見ていきましょう。

デスクワーク(座り仕事)の場合

「狭窄症は歩くと辛いから、座り仕事なら楽」と思われがちですが、実はデスクワークにも大きな落とし穴があります。

それは、「長時間同じ姿勢で座り続けること」です。

デスクワークが症状を悪化させる理由

座っている姿勢は、立っている時よりも腰椎(腰の背骨)への圧力がかかると言われています。特に、猫背や反り腰といった不適切な姿勢で座り続けると、腰の筋肉が過度に緊張し、血流が悪化します。

血流が悪くなると、神経が回復するために必要な酸素や栄養が届きにくくなり、結果として痛みやしびれを悪化させてしまう可能性があるんです。

デスクワークの対策ポイント

デスクワークの対策ポイント
  • こまめに立ち上がる (最重要): 少なくとも30分~1時間に1回は立ち上がり、数分間歩いたり、その場で軽いストレッチ(腰を丸める、伸ばす)をしたりして、姿勢を変えましょう。
  • 正しい姿勢の維持: 椅子に深く腰かけ、背筋を伸ばすことを意識します。骨盤が後ろに倒れないよう、座骨で座るイメージですね。
  • 環境整備(アイテムの活用):
    • クッション: 背もたれと腰の間にクッション(ランバーサポート)を入れると、腰の自然なカーブを保ちやすくなります。
    • 椅子: 高さを調整し、足裏全体がしっかり床につくようにします。
    • モニター: 目線が下がりすぎないよう、モニターの高さを調整します(ノートPCの場合はスタンドを使うのがおすすめです)。

座りっぱなしは腰にとって負担です。こまめに立ち上がるなど、できることから始めていきましょう。

立ち仕事(接客・製造・調理など)の場合

立ち仕事は、腰部脊柱管狭窄症の方にとって、症状が最も出やすいシチュエーションの一つです。先ほどお話ししたように、立っていると腰が反りやすい(伸展しやすい)からです。

「立ちっぱなし」が一番良くないので、いかに負担を減らすかが鍵になります。

「立ちっぱなし」を避ける工夫

レジ、調理場、工場のラインなど、同じ場所で立ち続ける必要がある場合は、意識的な対策が必須です。

立ち仕事の対策ポイント

立ち仕事の対策ポイント
  • こまめな休憩 (姿勢変更): 定期的に座って休む時間を作りましょう。もし座れなくても、その場で壁に手をついたり、台に肘をついたりして「前かがみの姿勢(腰を丸める)」をとるだけでも、神経の圧迫が一時的に和らぎます。
  • 足台の活用 (超おすすめ): これが一番効果的かもしれません。足元に10~20cm程度の低い台(電話帳やビールの空きケースなどでもOK)を置き、片足ずつ交互に乗せます。こうすると骨盤の傾きが変わり、腰の反りすぎを強制的に防ぐことができます。
  • 体重移動: 時々、左右の足に体重を移動させたり、かかとを上げ下げしたりして、同じ筋肉や関節に負担が集中しないように工夫してみてください。
  • 靴の見直し: クッション性の高い、足に合った靴を選ぶことも大切です。

特に避けるべき仕事・動作

症状を悪化させないために、以下の動作が多い仕事は、可能であれば配置転換や業務内容の変更を職場に相談することも検討してみてください。

症状悪化につながる動作(具体例)

  • 重量物の運搬:
    • 例: 宅配業の仕分け、引越し作業、介護職での移乗介助、重い資材を運ぶ建設業。
    • 理由: 重いものを持つ瞬間、腰に急激な負担(特に反ったり捻ったりしながらだと最悪)がかかります。
  • 腰を捻る(ひねる)動作:
    • 例: 工場のライン作業での頻繁な振り返り、ゴルフのキャディ、一部の清掃作業。
    • 理由: 捻る動作は、背骨の関節や椎間板に非対称なストレスを与えます。
  • 腰を反らす動作(伸展):
    • 例: 高い場所のものを取る(スーパーの品出し)、天井を見上げる作業(電気工事、塗装、農業での果樹の手入れ)。
    • 理由: 脊柱管が最も狭くなる姿勢であり、神経圧迫を直接的に強めます。
  • 長距離の運転・振動:
    • 例: タクシー、トラックドライバー、バスの運転手、建設機械のオペレーター。
    • 理由: 同じ姿勢が続くことに加え、車の「振動」が微細なダメージとして腰に蓄積し、神経を刺激する可能性があります。

「辞める」「休職」を考える前に利用できる制度

「辞める」「休職」を考える前に利用できる制度

対策をしても症状が改善せず、通勤もままならない。「もう仕事ができない」と休職や退職が頭をよぎることもあるかと思います。その場合、症状の辛さに加えて、経済的な不安が大きくなりますよね。

そんな時に、生活を支えてくれる公的な制度があります。すぐに「辞める」と決断する前に、こういう制度があることを知っておいてください。

(※重要:私は社会保険労務士ではないため、ここでは一般的な情報提供にとどめます。正確な手続きや条件は、必ず専門家にご確認ください。)

① 傷病手当金(休職中の生活保障)

これは、会社員や公務員の方が加入している健康保険(協会けんぽ、組合健保、共済組合など)から支給されるものです。

概要: 腰部脊柱管狭窄症のような「業務外」の病気やケガの療養のために仕事を休み、お給料がもらえない場合に、生活保障として支給されます。

傷病手当金の主なポイント

  • 医師の証明: 「労務不能(仕事ができない状態)」であると医師に証明してもらう必要があります。
  • 待期期間: 連続する3日間(待期期間)休んだ後、4日目以降の休んだ日に対して支給されます。(有給でもOK)
  • 支給額の目安: おおよそ、お給料(標準報酬月額)の3分の2程度です。
  • 支給期間: 支給開始日から「通算して」最長1年6ヶ月です。

「通算して1年6ヶ月」とは?

これは数年前に法改正された重要なポイントです。以前は「支給開始日から1年6ヶ月」だったので、途中で一度復職すると、残りの期間があってももらえなくなる場合がありました。

今は「通算」なので、例えば3ヶ月休んで復職し、また悪化して2ヶ月休む…といった場合でも、トータルで1年6ヶ月分まで支給されるようになりました。これは症状が良くなったり悪くなったりしやすい方にとって、大きな安心材料ですね。(出典:全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金について」

まずは、お勤め先の総務や人事担当の方、または加入している健康保険組合にご相談いただくのが良いかなと思います。休職中は、経済的な不安が自律神経のバランスを崩す原因にもなりかねませんから、利用できる制度はしっかり活用しましょう。

② 障害年金(症状が重い場合)

これは、病気やケガによって日常生活や仕事に著しい制限がある場合に支給される、公的な年金です。

「年金」というと高齢者のイメージかもしれませんが、若い方(現役世代)でも受給できる可能性があります。

ポイント: 腰部脊柱管狭窄症でも、症状の重さ(杖がなければ歩行が困難、介助が常に必要など)が、国が定める障害等級(1級~3級)に該当すれば、受給できる可能性があります。

  • 3級: 労働に制限が加わる程度(※厚生年金加入者のみ)
  • 2級: 日常生活に常時介助が必要な程度(国民年金・厚生年金)
  • 1級: ほぼ寝たきりの状態(国民年金・厚生年金)

障害年金の注意点

申請手続きが非常に複雑です。特に「初診日(この症状で初めて医師の診療を受けた日)」を証明することが非常に重要で、この初診日にどの年金制度(国民年金か厚生年金か)に加入していたかによって、受給できる年金の種類や等級が変わってきます。

申請を考えられる場合は、ご自身で判断せず、年金事務所や、障害年金を専門とする社会保険労務士(社労士)さんにご相談されることを強くお勧めします。

③ 労災保険(業務が原因の場合)

もし、腰部脊柱管狭窄症の発症や悪化が、長年の重量物運搬業務や、極めて不自然な姿勢での作業など、明らかに仕事が原因(業務起因性)であると医学的に認められた場合は、労災保険の対象となる可能性もゼロではありません。

ただし、狭窄症は加齢による変性が主な原因とされることが多いため、業務との因果関係を立証するのは、一般的にかなりハードルが高いと言われています。(「腰痛の労災認定」という基準があります)

こちらも、まずは労働基準監督署や専門家にご相談ください。

手術後の仕事復帰(いつから?)

手術後の仕事復帰(いつから?)

保存的な治療(薬やリハビリ、当院のような鍼灸や整体も含む)で改善が見られず、日常生活や仕事に大きな支障が出た場合、手術を選択される方もいらっしゃいますね。

患者さんから「手術したら、いつから仕事に復帰できますか?」と聞かれることも多いですが、これは本当に「術式(手術の方法)」と「仕事内容」によります。

一概には言えませんので、必ず、主治医の先生の判断に(絶対に!)従ってください。

仕事復帰の一般的な目安(※あくまで目安です)

手術には、神経の圧迫を取り除く「除圧術」(内視鏡など)と、背骨の不安定性も伴う場合に骨を固定する「固定術」などがあります。

  • デスクワーク:
    • 除圧術 (内視鏡など): 体への負担が少ないため、早い方だと退院後(術後1~2週間)から数週間で復帰を許可されるケースもあるようです。
    • 固定術: 骨が癒合(くっつく)するまでの期間が必要なため、デスクワークであっても1~3ヶ月程度は安静を指示されることが多いです。
  • 肉体労働(重量物運搬など):
    • 除圧術: 腰への負担が大きいため、十分なリハビリ期間が必要です。術後1~3ヶ月程度は慎重になるべきでしょう。
    • 固定術: 骨がしっかり癒合するまで(最低3~6ヶ月以上)は、腰に負担のかかる作業は厳禁となることが多いです。復帰には主治医の許可が絶対に必要です。

復帰を焦らないことが最重要

一番大切なのは、焦って復帰しないことです。

特に「固定術」を受けた場合、骨がくっつく前に無理をすると、固定した金属が緩んだり、別の部分に負担がかかって再発したりするリスクを高めます。

また、手術で神経の圧迫は取れても、安静期間中に筋力が落ちていたり、痛みへの恐怖心が残っていたりすることもあります。医師の指示(コルセットの着用期間など)を守り、適切なリハビリ(ストレッチや筋力強化)を行うことが、結果的に長く仕事を続けるために重要ですね。

腰部脊柱管狭窄症と診断されても、仕事ができないとすぐに諦める必要はありません。まずはご自身の症状と向き合い、職場環境の調整や公的制度の利用、そして適切な治療(保存療法・手術・リハビリなど)を検討し、できることから一つずつ試してみてはいかがでしょうか。

当院でも、鍼灸施術による神経の興奮の鎮静や血流改善、あるいは整体による姿勢バランスの調整など、症状の緩和や日常生活の支障を減らすこと、一日でも長く自分の足で歩けることを目指すお手伝いをしています。辛い時は一人で抱え込まず、ぜひご相談くださいね。

【重要なご注意】

この記事は、一般的な情報提供を目的としています。掲載されている情報はあくまで目安であり、医学的な診断や治療、法律・制度に関する助言に代わるものではありません。

症状の診断、治療(手術の判断を含む)、リハビリテーションについては、必ず医師、医療機関にご相談ください。

公的制度(傷病手当金や障害年金、労災)の申請については、お勤め先の担当部署、健康保険組合、年金事務所、または社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

執筆・監修

栫 漸(かこい ぜん)

栫 漸(かこい ぜん)

「眠れない夜を、もう終わりにしませんか。」

かつて私自身、過労とストレスで眠れない日々を過ごしました。
疲れているのに眠れない、朝はだるく気力も出ない…。そのつらさを経験したからこそ、同じように不眠症でお悩みの方の改善をお手伝いしたいと思い、この道を志しました。

鹿児島にある当院では、自律神経の調整×WHO(世界保健機関)でも認められている不眠のツボ×睡眠習慣の指導による不眠症根本改善を目的とした鍼灸施術を提供しています。

不眠症の背景にある自律神経の乱れやホルモンバランス、日常のストレスを丁寧に整え、自然に眠れる力を呼び起こし心と体を本来のリズムへ導きます。

■資格・実績
・国家資格4種(鍼師・灸師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師)
・睡眠の専門資格(日本睡眠機構 睡眠検定1級・スリーププランナー)
・10年以上の臨床実績/Googleクチコミ評価5.0(満点)


眠れない夜を重ねている方へ。
鹿児島で不眠症改善をめざす鍼灸院として、安心してお任せいただける環境をご用意しています。
「また自然に眠れる毎日」を、一緒に取り戻しましょう。

最近の記事

トップへ