ぎっくり腰の時にやってはいけないことは?回復を早めるNG行動5選

こんにちは。鹿児島の自律神経専門、ZEN鍼灸接骨院の栫漸(かこいぜん)です。

突然グキッという衝撃と共にやってくるぎっくり腰。その激痛は本当に辛いものです。「今すぐこの痛みをなんとかしたい」という一心で、良かれと思ってやったことが、実は逆効果になってしまうケースが後を絶ちません。お風呂で温めるべきか冷やすべきか、痛みを紛らわすためのお酒はありなのか、早く治すためにストレッチをするべきなのか……。こうした初期対応の悩みは尽きないと思います。この記事では、発症直後の急性期から、少し動けるようになってきた回復期にかけて、「これをやってしまうと長引く」「悪化する」という具体的なNG行動を詳しく解説します。正しい知識で対処することで、不安を取り除き、最短での回復を目指しましょう。

  • 発症直後の急性期に避けるべき5つの具体的なNG行動がわかります
  • お風呂やアルコールがなぜ腰痛を悪化させるのか、医学的な理由を理解できます
  • 仕事復帰のタイミングや、やってはいけない姿勢についての知識が得られます
  • 「過度な安静」が逆に回復を遅らせるという最新の常識を学べます

急性期のぎっくり腰の時にやってはいけないことは?

ぎっくり腰になってしまった直後、つまり発症から48時間以内の「急性期」と呼ばれる時期は、対応を一歩間違えると痛みが長引いたり、劇的に悪化したりするリスクが非常に高い時期です。まずは、この時期に絶対に避けるべき代表的な5つのNG行動について、理由とともに詳しく解説していきます。

お風呂で温める行為は炎症を悪化させる

お風呂で温める行為は炎症を悪化させる

なぜ温めると悪化するのか

「腰が痛いときは温めると良い」とよく耳にしますが、これは慢性的な腰痛の場合の話です。ぎっくり腰の直後は、腰の筋肉や靭帯が断裂し、激しい「炎症」を起こしている状態です。足首の捻挫で腫れ上がっている状態をイメージしてください。このタイミングで湯船に浸かって体を温め、血行を良くしてしまうと、炎症物質が一気に拡散し、痛みや腫れが劇的に悪化してしまう可能性が高いのです。

【ここが注意点】 長時間の入浴だけでなく、カイロで患部を直接温めたり、岩盤浴やサウナに行ったりすることも、急性期においては絶対に避けてください。火に油を注ぐようなものです。

正しい対処は「アイシング」

発症直後の正しい対処法は、患部を「冷やす(アイシング)」ことです。氷嚢や保冷剤をタオルで包み、1回10分〜15分程度、気持ちいいと感じる範囲で冷やすのが正解です。お風呂に関しては、最初の2〜3日は湯船には浸からず、サッとぬるめのシャワーだけで済ませるようにしましょう。

※ただし、発症から3日〜1週間ほど経過し、炎症が治まってズキズキする痛みが引いてきたら(回復期)、今度は逆に温めて筋肉をほぐすことが有効になります。この「冷やす」から「温める」への切り替えのタイミングを見極めることが重要です。

自己流のマッサージは損傷を広げる

自己流のマッサージは損傷を広げる

炎症期の強い刺激は逆効果

痛いところがあると、つい手で揉んだり押したりしたくなるのが人情ですが、急性期のぎっくり腰に対して患部を揉むのは厳禁です。傷ついている筋肉を外から強い力でグイグイ押したり揉んだりすると、傷口をさらに広げてしまうことになります。

これは、いわゆる「揉み返し」以上に筋肉を深く傷つけ、炎症を助長させてしまい、結果として治るまでの期間を大幅に遅らせてしまいます。自己流のマッサージは百害あって一利なしと考えてください。

家族に踏んでもらうのは危険

よく「家族に腰の上に乗ってもらって踏んでもらった」という話を聞きますが、これは非常に危険な行為です。健康な状態であれば気持ちいいかもしれませんが、損傷した筋肉に体重をかけると、筋肉だけでなく骨格にも予期せぬ負担がかかり、動けなくなるほどの激痛を招く恐れがあります。この時期は、患部には極力触れず、そっとしておくのが一番の薬です。

【専門家による鍼灸アプローチは有効】 自己流のマッサージは危険ですが、一方で「鍼灸(しんきゅう)」によるアプローチは、急性期の症状を和らげるのに非常に有効です。 鍼治療には、ツボを刺激することで鎮痛物質の分泌を促したり、患部の炎症を抑えたりする効果が期待できます。筋肉を無理に揉むことなく、深部の痛みに直接アプローチできるため、発症直後の動けない状態でも施術が可能です。「早く治したいけれど、触られるのは怖い」という方は、ぜひ私たちのような専門家による鍼灸治療を選択肢に入れてみてください。

飲酒やアルコールは痛みを増幅させる

飲酒やアルコールは痛みを増幅させる

血管拡張と脱水のリスク

「痛くて眠れないから、お酒を飲んで紛らわせよう」という考えも、非常に危険です。確かにアルコールには中枢神経を麻痺させる作用があるため、飲んでいる間は一時的に痛みを感じにくくなるかもしれません。

しかし、アルコールは強力に血行を促進させるため、お風呂に入った時と同様、炎症を激しく悪化させます。さらに、アルコールを分解するために体内の水分やビタミンが大量に消費されるため、筋肉の修復に必要な栄養や水分が不足し、回復が遅れる原因にもなります。

酔いが覚めた後のリバウンド痛

もっと怖いのは、酔いが覚めた後の「リバウンド」です。麻痺が切れた後に、猛烈な激痛が襲ってくることがよくあります。また、酔っている間は痛みに鈍感になっているため、無意識に無理な体勢をとってしまい、さらに腰を痛めてしまうことも。「痛み止め代わりの寝酒」は、翌日の自分を苦しめる最悪の選択だと思って控えてくださいね。

無理なストレッチや運動は避けるべき

無理なストレッチや運動は避けるべき

傷口を広げる行為

「筋肉が固まってしまったから、伸ばしてほぐさないといけない」と思い込み、無理にストレッチをする方もいらっしゃいますが、これも発症直後は避けるべき行動です。ぎっくり腰は筋肉や筋膜が部分的に断裂している状態です。裂けてしまった傷口を無理やり引っ張って伸ばそうとすれば、傷が深くなり、治りが遅くなるのは当然のことです。

ヨガや柔軟体操の再開時期

ヨガや柔軟体操などは、痛みが落ち着いて回復期に入ってから行うものです。痛みを我慢して前屈や後屈をする必要は全くありません。今は「痛みのない楽な姿勢」を見つけて、じっとしていることが最善の運動だと割り切りましょう。

柔らかいソファーでの座り方や寝方

柔らかいソファーでの座り方や寝方

沈み込む寝具の弊害

家で安静にしている時、ふかふかの柔らかいソファーやベッドで過ごしていませんか?一見楽そうに見えますが、体が沈み込んでしまうような柔らかすぎる寝具や椅子は、腰にとって大きな負担となります。

【なぜ柔らかいとダメなの?】 体が沈むと寝返りが打ちにくくなり、同じ姿勢が続くことで腰の一点に荷重が集中してしまうからです。また、立ち上がる際にも踏ん張りがきかず、余計な筋力が必要となり、痛みを誘発します。

楽な寝方の具体例

寝るときは、ある程度硬さのあるマットレスや布団(せんべい布団くらいが丁度いい場合もあります)がおすすめです。

姿勢ポイント
横向き寝(シムス位)膝を軽く曲げ、背中を少し丸める(エビのような姿勢)。足の間にクッションや枕を挟むと、骨盤が安定してさらに楽になります。
仰向け寝どうしても仰向けが良い場合は、膝の下にクッションや丸めた毛布を入れて膝を立てるようにすると、腰の反りが緩和されます。

逆に、うつ伏せ寝は腰が反ってしまい、関節に負担がかかるため避けたほうが無難です。

ぎっくり腰の時にやってはいけないことは?仕事や生活編

急性期の激痛が少し和らいできた頃や、どうしても仕事を休めない時に、どのようなことに気をつけるべきか。ここからは、社会生活を送る上でやってはいけないことや、回復期の注意点についてお話しします。

3日以上の過度な安静期間は逆効果

「安静神話」の崩壊

かつては「ぎっくり腰になったら治るまで絶対安静。トイレ以外は動くな」と言われていましたが、現在の医学的なガイドラインではこの常識は完全に覆されています。

実は、「3日以上の過度な安静(寝たきり)」は、かえって回復を遅らせることが多くの研究で判明しているのです。長期間動かないでいると、筋力が急速に低下し、関節も固まってしまいます。さらに、脳が痛みに過敏になり、慢性的な腰痛に移行しやすくなるリスクもあります。

厚生労働省に関連する資料や腰痛診療ガイドラインなどでも、急性腰痛に対しては、安静にしすぎるよりも、痛みに応じて活動性を維持する方が機能回復に有効であると示唆されています。(出典:厚生労働省『腰痛診療ガイドライン 策定の経緯と内容』関連資料

【回復へのポイント】 発症から最初の2〜3日は安静が必要ですが、それを過ぎたら「痛みの範囲内で動けるだけ動く」ことが早期回復の鍵です。家の中を少し歩くなど、日常生活レベルの動きから恐れずに徐々に再開していきましょう。

コルセットに頼り続けると筋力が低下

コルセットに頼り続けると筋力が低下

頼りすぎによる筋力低下

コルセットは、腹圧を高めて腰を安定させ、痛みを軽減してくれる便利なアイテムです。動かなければならない時や、トイレに行く時などは大いに活用して良いと思います。しかし、「24時間つけっぱなし」や「痛みが引いてからも長期間使い続ける」のはNGです。

コルセットに頼りすぎると、自分の胴回りの筋肉(天然のコルセット)が「支えなくていいんだ」とサボってしまい、筋力が弱くなってしまいます。その結果、コルセットを外すとすぐに腰が痛くなるという悪循環に陥り、再発しやすい体になってしまいます。

正しい着脱のタイミング

「寝ている時は外す」「食後は緩める」「痛みが落ち着いてきたら、家の中では外す時間を増やす」など、メリハリをつけて使用することが大切です。あくまで補助器具として上手に付き合いましょう。

重いものを持つ仕事や長時間の運転

長時間同じ姿勢のリスク

これは当然のことかもしれませんが、ぎっくり腰の直後に重い荷物を持つことや、中腰での作業は絶対に避けてください。どうしても仕事に行かなければならない場合でも、上司や同僚に正直に相談して、力仕事は代わってもらう勇気が必要です。

運転時の工夫

また、長時間の車の運転も腰には大きな負担です。車のシートは構造上、お尻が沈んで腰が丸まりやすく、路面からの振動も直接伝わるためです。どうしても運転が必要な場合は、こまめに休憩をとって車から降り、軽く体を伸ばすようにしてください。シートと腰の間にクッションやタオルを挟み、腰のカーブを保つのも有効です。

数日後の治りかけに油断して動くこと

数日後の治りかけに油断して動くこと

再発(ぶり返し)のメカニズム

痛みのピークを越え、「あ、だいぶ動けるようになったな」と感じる3〜4日目が、実は一番再発(ぶり返し)が多い「魔の期間」でもあります。

痛みが薄れたからといって、急に以前と同じペースで動いたり、走ったりすると、かさぶたになりかけていた傷口が再びパカッと開いてしまうことがあります。一度ぶり返すと、最初よりも痛みが長引くことが多いので注意が必要です。

くしゃみ・咳払いの注意点

この時期に意外と多いのが、くしゃみや咳による再発です。くしゃみをする時は、壁や机に手をついて衝撃を逃がすか、お腹に力を入れて身構えるようにしましょう。「治りかけが一番危ない」と肝に銘じ、完全に違和感がなくなるまでは、慎重な動作を心がけてください。

いつまでも痛みが引かない時は受診を

見逃してはいけないサイン

通常、ぎっくり腰は適切な処置をすれば、1週間〜2週間程度で自然に回復していきます。しかし、中には「単なるぎっくり腰ではない」危険なケースも潜んでいます。

以下のような症状がある場合は、自己判断で様子を見続けず、必ず整形外科などの医療機関を受診してください。これらは「レッドフラッグ」と呼ばれる危険なサインです。

  • 安静にしていても痛みが全く引かない、または強くなる(夜間痛・がん転移などの可能性)
  • 足にしびれがある、力が入らない(ヘルニアによる神経圧迫や麻痺の可能性)
  • おしっこや便のコントロールができない(馬尾症候群の疑い・緊急手術が必要な場合も)
  • 発熱を伴う(化膿性脊椎炎などの感染症の可能性)

これらは放置すると後遺症が残る可能性もあるため、早めの受診が大切です。

ぎっくり腰の時にやってはいけないことは正しく守ろう

ぎっくり腰になってしまった時、一番大切なのは「焦らないこと」です。早く治したい一心で、温めたり揉んだりストレッチをしたりと、余計なことをしてしまうのが一番の落とし穴です。

まずは「余計なことをしない(NG行動を避ける)」ことが、結果として最短の回復ルートになります。最初の数日は冷やして安静にし、お酒やお風呂は我慢する。そして痛みが引いてきたら、怖がりすぎずに少しずつ動いていく。このメリハリを意識してみてくださいね。

もし痛みが強くて不安な場合や、どう動いていいかわからない場合は、一人で抱え込まず、私たちのような専門家を頼っていただくのも一つの手です。先ほどもお伝えしたように、鍼灸によるアプローチは、痛みを和らげ、回復力を高めるのに非常に有効です。無理のない範囲で早めにケアをすることで、復帰までの期間をグッと縮めることができますよ。

あなたの腰が一日も早く楽になることを願っています。お大事になさってください。

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執筆・監修

栫 漸(かこい ぜん)

栫 漸(かこい ぜん)

「眠れない夜を、もう終わりにしませんか。」

かつて私自身、過労とストレスで眠れない日々を過ごしました。
疲れているのに眠れない、朝はだるく気力も出ない…。そのつらさを経験したからこそ、同じように不眠症でお悩みの方の改善をお手伝いしたいと思い、この道を志しました。

鹿児島にある当院では、自律神経の調整×WHO(世界保健機関)でも認められている不眠のツボ×睡眠習慣の指導による不眠症根本改善を目的とした鍼灸施術を提供しています。

不眠症の背景にある自律神経の乱れやホルモンバランス、日常のストレスを丁寧に整え、自然に眠れる力を呼び起こし心と体を本来のリズムへ導きます。

■資格・実績
・国家資格4種(鍼師・灸師・あん摩マッサージ指圧師・柔道整復師)
・睡眠の専門資格(日本睡眠機構 睡眠検定1級・スリーププランナー)
・10年以上の臨床実績/Googleクチコミ評価5.0(満点)


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